椎間板細胞のシグナル伝達機構ー研究内容ー
椎間板細胞には細胞外基質に影響するサイトカインの受容体が存在するとともに、様々な炎症性サイトカインや神経発芽誘導物質の発現誘導が報告されている。
一般的にサイトカインの機能を大きく分けると基質を分解する異化作用と基質を合成する同化作用に分けられるが、正常な代謝回転が行われている椎間板では、これらのサイトカインが平衡状態を保っており、異化作用と同化作用とが均衡した生体内代謝を行っている。しかしながら椎間板の恒常性維持機構が破綻しこの均衡状態が崩れると異化作用が同化作用を凌駕し椎間板変性が進んでいくと考えられる。
椎間板由来の痛み(椎間板性腰痛)は異常な椎間板へのストレスや椎間不安定性が増大(Hypermobility)することで、椎間板細胞から炎症性サイトカイン(異化作用)の分泌が生じ(Inflammation)、疼痛伝達神経である自由神経終末の変性椎間板内への侵入(Innervation)により感覚神経が感作されて疼痛が発生するのではないかとされる。
このような背景から、我々は椎間板変細胞における異化作用と同化作用の不均衡を生じる細胞内外のシグナル経路を分子学的に解明する事が新規の腰痛治療薬や分子診断マーカーの開発に繋がるのでないかと考えた。
近年では軟骨細胞や骨芽細胞の増殖、分化や発生の様々な局面におけるWntシグナルの役割が注目されているが、椎間板細胞におけるその役割については不明であった。
そこで我々は椎間板におけるWntシグナル伝達経路に注目し、椎間板でどのような役割を担っているのか、それぞれの相互作用に注目し解析している。
(Senescence陽性細胞の増加が髄核細胞含め線維輪細胞でも確認された事からWntシグナルの活性化は椎間板細胞の老化を誘導する)
【業績】