昨今の日本の高齢化に伴い、整形外科疾患を抱えた患者さんは多くいらっしゃいます。 特に変形性関節症は、現代人とは切っても切れない疾患と言えます。原因は外傷・感染・加齢など多くあり、進行すると関節の軟骨が変性・摩耗し、 関節へ負担をかけることで、痛み・動かしにくさ・膝崩れなど様々な症状を生じます。これまで軟骨の修復・再生を確立した治療法はなく、病状が進行した際には、骨切り術や人工関節置換術などの手術を患者さんに提案してきました。軟骨の再生は、「再生医療」分野の大きな課題の1つです。
従来再生が難しいとされてきた膝関節軟骨の再生を目指し、日々研究をおこなっています。日本独自の先端医療技術である、「細胞シート工学」を応用しています。臨床研究から治療の可能性を見極め、根治に繋げることで、患者さんのADL・QOLの向上に貢献することを目標としています。
①先進医療B 「自己細胞シートによる軟骨再生治療」
自己細胞シートによる臨床研究は、2011年に臨床研究を開始し、治療の安全性および有効性を確認しました。現在は第2種再生医療等提供計画として厚生労働省に受理され、先進医療Bとして臨床研究を開始しています。
②東海大学総合研究機構プロジェクト研究
「自己細胞シートによる軟骨再生治療の品質・特性の評価、および治療効果の検討」
これまでの自己細胞シートによる臨床研究に加え、最終糖化産物(AGEs)の関与にも着目し、細胞シートによる治療効果の検討をおこなっています。
③多血小板血漿(PRP)による変形性膝関節症治療
血液中に含まれる血小板の成長因子がもつ組織修復能力を利用し、変形性膝関節症の治療をおこなうことを目的としています。
④日本医療研究開発機構(AMED)プロジェクト
「変形性膝関節症による同種細胞シート移植の臨床研究」
同種細胞(他人の細胞)シートによる臨床研究をおこなっています。 患者さんの膝関節への移植を終え、現在手術後の経過をフォローしながら、 安全性や有効性を評価しています。
「関節軟骨再生医療の普及を加速するiPS細胞由来軟骨細胞シートの研究開発」
iPS細胞を使用した軟骨細胞シートによる研究をすすめています。
日本医療研究開発機構に関する課題及び臨床研究の詳細は下記URLをご参照ください。
http://cellsheet.med.u-tokai.ac.jp/
現在は総勢11名のスタッフで研究中!
研究員・博士課程学生・修士課程学生でチームとなり、「軟骨の再生」を大きなテーマとし、各々の研究テーマを持ちながら、日々邁進しています。出身大学や経歴も様々です。
これまでの主な業績(論文など)
Transcriptomic and Proteomic Analyses Reveal the Potential Mode of Action of Chondrocyte Sheets in Hyaline Cartilage Regeneration.
Multilineage-differentiating stress-enduring (Muse)-like cells exist in synovial tissue.
Rabbit xenogeneic transplantation model for evaluating human chondrocyte sheets used in articular cartilage repair.
治療(先進医療Bへの参加やPRP治療の相談含む)を希望される患者さんへ
はじめに、当院までお電話をいただき、ご希望の受診内容についてご相談ください。ご相談なく来院された場合、医師の不在・他患者さんの予約状況などにより、ご希望の治療担当医への受診が困難な場合があります。また、受診された患者さんご自身の体調・既往・感染症の有無などにより、治療内容はご希望に沿えない場合がございます。どうぞご了承ください。
見学・コンタクト等をご希望の医療従事者の方(研究者・学生など)へ
まずは下記までご連絡ください。電話でのご連絡はお受けしておりませんのでご了承ください。
大学院への進学につきましては、東海大学大学院HP(https://www.u-tokai.ac.jp/prospective…)あるいは、当HPトップページ右メニューの、「東海大学院 医学研究科 運動器先端医療研究センター」のページをご参照ください。
東海大学医学部 外科学系整形外科学 佐藤 正人
E-mail:cellsheet@tsc.u-tokai.ac.jp