Tokai University School of Medicine Department of Orthopaedics

取り扱う疾患

【脊椎脊髄疾患】

脊椎脊髄外科では特に、腰部椎間板ヘルニア、すべり症などの腰椎変性疾患、側弯症などの脊柱変形、脊髄腫瘍、頸椎症や後縦靭帯骨化症による頚部脊髄症などが頻度の高い疾患です。また、救命センターを経由して搬送される脊椎脊髄外傷例の治療も私達の大きなフィールドです。脊椎脊髄外科疾患、外傷のすべてに対応できるスタッフを配置しています。日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医が6名おります。

椎間板ヘルニアでは当該椎間板の機能を可及的に温存する手術手技を選択し、顕微鏡下ヘルニア摘出術、内視鏡的ヘルニア摘出術により、良好な長期成績をあげています。腰椎変性疾患では確実な除圧術と的確な判断のもと脊椎固定術が行われており、低浸襲な手術を心がけております。

頚椎症性脊髄症に対する脊柱管拡大術側弯症の手術治療ではミリ単位の操作を可能とするCTナビゲーションや脊髄刺激モニタリング、自己回収輸血など最新の設備を駆使した安全性への配慮、新しいインプラントの導入で、人間の本来の弯曲へより迫る矯正術が可能となっています。

脊髄腫瘍の手術例は髄外腫瘍、髄内腫瘍ともに過去数年間に飛躍的に増加し、顕微鏡下手術により良好な結果が得られています。頚髄症に対しては片開き式の脊柱管拡大術を改良した、東海大式の拡大術を考案し実施しています。いずれの疾患でも手術法の改良により、術後安静期間の著しい短縮化が得られています。たとえば、腰椎、頸椎疾患ともに2日で歩行可能となっています。

【膝関節疾患およびスポーツ障害】

膝関節手術ではスポーツ外傷によるものが多く、膝前十字靭帯損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨炎、反復性膝蓋骨脱臼が主であります。前十字靭帯損傷、半月板損傷では全例、関節鏡視下手術を行っています。

以前と比べ入院期間も著しく短縮され、前十字靭帯の術後は、約2週間で退院が可能です。半月板手術は約1週間で退院が可能となっています。その他関節リウマチや、変形性関節症の例に低侵襲の人工関節置換術を数多く実施しています。人工関節だけではなく、ご自身の膝関節温存を希望される患者様には膝周囲骨切り術も積極的に行っています。

また、大腿骨骨折、脛骨骨折の関節周囲の複雑な骨折例に対しては、内固定術だけでなく特殊な創外固定を駆使した手術法でも良好な成績を収めています。骨再生治療の一環として大きな長管骨欠損部に対する骨延長術も実施しています。

肩関節疾患およびスポーツ障害

いわゆる「五十肩」の中には腱板断裂、肩関節不安定症をはじめとした診断、治療の難しい疾患が含まれている事が分かってきました。また、最近のスポーツ外傷の急増に伴い、throwing athlete の肩関節障害に注目が集まっています。当科では超音波断層撮影、MRIを駆使した鑑別診断を行い、適切な治療をするように心がけています。


反復性脱臼手術反復性肩関節脱臼をはじめとした肩関節不安定症には関節唇修復、関節包縫縮術を行い、再発率は10%以内、スポーツ復帰は80%の好成績を収めています。投球性肩関節障害にも症例を選択し関節鏡視下手術を行っています。転位の著しい上腕骨近位粉砕骨折に対しては人工骨頭置換術を行い早期からの可動域訓練により、平均挙上角度120°と良好な結果を得られています。リウマチ、変形性肩関節症に対しても人工肩関節置換術を行い良好な結果を得ています。

手外科、肘関節外科、末梢神経疾患、マイクロサージャリー 】

《手外科》

  • 日帰り手術:手根管症候群、弾発指、デケルバン腱鞘炎、マレット指、腱断裂、指の骨軟部腫瘍など
  • 骨折:手指骨折、手根骨骨折(舟状骨骨折など)、手関節骨折(橈骨遠位端骨折など)、前腕骨折
  • 変性疾患:ヘバーデン結節、母指CM関節症、関節リウマチによる手指・手関節変形など
  • 骨壊死疾患:キーンベック病など
  • 腱損傷
  • 拘縮:Dupuytren拘縮

《肘関節外科》

  • 骨折:肘関節骨折、上腕骨骨折(上腕骨顆上骨折など)
  • 変性疾患:変形性肘関節症、遊離体、上腕骨外側上顆炎、関節リウマチによる肘関節変形など
  • 骨壊死疾患:離断性骨軟骨炎
  • 変形:骨折後の変形治癒(内反肘など)

《末梢神経疾患》

  • 神経麻痺:手根管症候群、肘部管症候群、後骨間神経麻痺、前骨間神経麻痺、ギヨン管症候群など

《マイクロサージャリー》

  • 神経損傷
  • 切断肢

術後は理学・作業療法士と相談をしながらリハビリテーションを行ないます。

【 股関節疾患および骨盤外傷】

股関節の疾患では,主に臼蓋形成不全症、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症、先天性股関節脱臼を扱っています。 臼蓋形成不全症、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症には人工股関節置換術を施行しています。術後脱臼の合併症を減らすべく、従来の後方アプローチだけではなく、前方アプローチも積極的に取り入れています。

術後のリハビリテーションの迅速化を図り術後3週間で退院できるように努めています。先天性股関節脱臼の早期発見の為に当院での全出生児に新生児健診を行い、治療は外来での装具療法で90%以上が整復されており、難治例には入院での牽引療法や手術的治療を行っています。

骨盤骨折には放射線科の協力を得て、経カテーテル的動脈塞栓術を積極的に行って救命に努めており、骨折には主として創外固定を用いています。複雑な骨盤骨折や股関節脱臼骨折には3次元CTで骨折型を立体的に把握して手術を行っています。

【骨・軟部腫瘍】

骨や軟部組織(脂肪組織や筋肉など)からできる悪性腫瘍は肉腫と呼ばれ、肺癌や乳癌といった悪性腫瘍(狭義のがん)とは区別されています。 肉腫はがんに比べると発生頻度が低いため非専門施設では経験が少なく、診断と治療が遅れることがあります。当科には骨・軟部悪性腫瘍、すなわち肉腫の診療を専門としたスタッフが2名おり、最新の画像診断と病理学部門の協力による病理組織診断をもとに、エビデンスに基づいた治療を行なっています。

悪性骨腫瘍の代表とされる骨肉腫やユーイング肉腫は小児期に多い疾患です。化学療法(抗がん剤治療)と手術が必要で、現在確立された標準的治療があります。 小児に対しては当院の小児科医の協力で化学療法を行い、われわれ骨軟部腫瘍外科医が手術、主に患肢温存手術を行います。四肢の関節周囲に発生することが多いため、腫瘍切除後の骨・関節の欠損による患肢機能低下が問題になります。

一般には腫瘍用人工関節を用いた再建術が行われていますが、当施設ではできうる限り術後の患肢機能を良好に保つことを目標に手術を行なっております。 例えば膝関節が温存できると判断した場合には関節面を残して腫瘍を切除し、切除した骨を液体窒素処理することで腫瘍を死滅させた後再利用する手法を選択します。関節面が残ることで人工関節と比べると良好な患肢機能が期待されます。

軟部肉腫に対しては手術による腫瘍広範切除術が原則です。術前に造影MRIにて腫瘍の進展範囲を十分に評価した上で切除範囲を設定します。切除により大きな筋肉や皮膚欠損が生じる場合があり、形成外科医のお力をお借りして筋皮弁形成術も併用しています。

また肉腫は全身のあらゆる部位に発生するため四肢以外の胸壁・腹壁など体幹部も手術の対象です。胸部外科や泌尿器科とも共同で手術に臨んでいます。不幸にも肉腫が進行すると遠隔転移(特に肺に多い)を生じることがあります。 全身化学療法や放射線照射などを駆使し、少しでも生命予後を改善すべく努力しています。このように東海大学では他科との連携により肉腫に対する集学的治療を行うことができます。

大腿骨骨肉腫に対する液体窒素処理骨と血管柄付き腓骨移植を組み合わせた再建術

膝窩部軟部肉腫切除後、遊離広背筋皮弁による再建術

【骨・関節外傷】

当院には高度救命救急センターがあることから、多くの多発外傷・骨折を扱っています。年間の手術件数は全体の4割(400例)を超え、各部位のスペシャリストが難治性骨折治療(イリザロフ創外固定器を使用)対応しています。

特に下肢開放骨折においては受傷後早期に内固定を行うことで、術後感染率の低下と入院期間の短縮が達成されています。また難治性骨折(感染性偽関節・回旋変形・短縮変形)に対してはイリザロフ創外固定器を使用した骨延長術や短縮延長術、骨移動術なども行われ安定した治療成績が得られています。

複雑骨折の術後や骨癒合不全(偽関節)の患者さんには積極的に超音波骨折治療器を使用し80%を超える骨癒合が得られています。